刺繍とタトゥーの違い
まず、刺青とタトゥーの違いですが、刺青は皮膚に針を刺した穴に墨を流して模様を描きます。
タトゥーは刺青に比べ、針は浅く刺してインクでデザインします。タトゥーの人気は低年齢化し、10代でも関心が高まっています。
好きなアーティストやモデルなどのボディー・アートとしてのタトゥーに憧れるためです。
しかし、タトゥーインクには磁性体が配合されている種類もあるため、医療機関によっては火傷のリスクを回避するためMRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像)を受けることが難しくなるケースがあります。
タトゥーを入れることのデメリット
体にタトゥーがあると、MRI診断を受けることが難しくなる他にも公共のプールや温泉へ入れなかったり、中には反社会的なイメージがあって人間関係で問題を抱えてしまうなど、様々なデメリットもあります。
過去に、ある知事がタトゥーや刺青を非難した上で約50人の市の職員に消すよう指示し、話題になったこともあります。タトゥーを消す方法は幾つかあります。
レーザー治療によるものは、インクをレーザーによって破壊する方法です。この方法は激痛を伴います。タトゥーのデザインが黒色の一色だけの場合であれば、綺麗になるケースもあります。
複数の色を使用した場合はレーザーを繰り返す回数も増え、タトゥーを入れる時に傷ついた皮膚を火傷により悪化させます。
火傷した皮膚は厚さを増していき、深い部分のインクまでレーザーが届かなくなり、効果はなくなっていきます。
切除法は、タトゥーを入れた部分の皮膚を何回かに分けて切除を繰り返す方法です。切除した部位は周りの皮膚を縫合することで塞ぎます。
但し、これを繰り返すと皮膚が引きつるようになり、痛みや痺れが生じるようになります。
傷跡も決して綺麗ではなく、途中で除去を諦めるケースもあります。
タトゥー除去方法の種類について
植皮法とは、タトゥーを入れた部分の皮膚を切除し、タトゥーを入れていない部位の皮膚を採取して移植する方法です。
縫い目が目立ったり、移植した皮膚が不適合となるケースを回避するため、移植前に採取した皮膚をメッシュ状に機械加工します。
タトゥーを入れていた最初の部位とメッシュ状の皮膚との正着率は良くなりますが、完全に綺麗な状態に戻る事例はまだ少ないです。
削皮法はタトゥーの深さをミクロ単位で削ることによってタトゥーを除去するという高い技術が必要となる方法です。
ほんの少し深く削ることで様々な後遺症が出るので、約9割ほど削った後は皮膚の回復を待ってからレーザー照射を施すという方法もあります。
カナダのノバスコシア州立ダルハウジー大学で病理組織を学ぶ博士課程のアレック・フォークナムさんはタトゥー除去を目的とするクリームを開発しました。
クリームの効果は、タトゥーを徐々に薄くしながら消し去るものです。
ビスホスホネート・リポソーム・タトゥー除去(BLTR)と呼ばれる技術で、BLTRクリームにはリポソームが含まれていて、リポソームの膜の層が少しずつ壊れていくことで皮膚の深い部分にまで届く仕組みになっています。
インクの色素が沈着した細胞にリポソームが入ると、白血球の一種であるマクロファージが接近してリンパ節に追いやろうとします。
そのため、リポソームとインクの色素も細胞から除去されていきます。
色素の無い部分には作用しないため、皮膚を傷つける危険性がないとされています。
人が持つ自然治癒力が活かされる過程に着目し、それを利用することでタトゥーを薄くする・消し去る開発が進められるようになりました。